設計者のExcel活用術【部品表・工程表を爆速で作る関数・テンプレート10選】

設計業務の効率化Tips


📊 この記事の関数はすべてコピペで即使えます

BOMテンプレートの構成も掲載 / 実務で毎日使うものだけ厳選

設計者の仕事は「3Dモデルを作る」だけじゃない。
部品表の作成・工程管理・材料費の集計・外注先への見積依頼——Excelなしでは回らない業務が山積みになっている。

ただ、Excelの使い方に大きな差がある。同じ部品表を作るのに、30分かかる人と5分で終わる人がいる。その差は「知っているかどうか」だけだったりする。
この記事では、設計現場で本当によく使う関数10選と、BOM・工程表のテンプレート構成をまとめた。

1. 【実話】あの先輩のExcelが「魔法」に見えた日

入社2年目のことだ。

100点以上の部品リストから材質別の重量を集計する作業を任された。当時の私はひたすら目視でフィルターをかけ、電卓を叩き、Excelに手入力していた。1時間かかっても終わらなかった。

そのとき先輩が横を通りかかって「なにそれ、SUMIFで一発じゃないの?」と言った。先輩がExcelに数式を1行書いたら、SUS304の重量合計が0.3秒で出た。

「……なんですかそれ」

「関数だよ。知らないの?」

知らなかった。1時間かけてやっていた作業が、1行で終わった。

その日から私のExcel観が変わった。「Excelは表を作るソフト」から「Excelは自動化するソフト」へ。設計業務でExcelをどう使うかで、本当に業務スピードに圧倒的な差がつく——あの日の衝撃は今でも忘れない。

2. 設計者が使うべきExcel関数10選

すべてコピペして使えるようにしてある。自分の列名・シート名に合わせて書き換えるだけだ。

① XLOOKUP(部品マスタとの連携)

品番を入力すると、部品マスタから品名・材質・単価を自動取得する。かつてはVLOOKUPが定番だったが、XLOOKUPは左方向の検索・エラー時の代替表示も1関数で完結する。今から覚えるならXLOOKUP一択。

=XLOOKUP(A2, 部品マスタ!A:A, 部品マスタ!C:C, “未登録”)

A2の品番で部品マスタを検索し、C列(品名など)を返す。見つからなければ「未登録」と表示。

② SUMIF(材質別・工程別の集計)

「SUS304だけの重量合計を出したい」「外注品だけのコストを集計したい」——これが一発で出る。フィルター→電卓の作業がゼロになる。

=SUMIF(C:C, “SUS304”, E:E)

C列が「SUS304」の行のE列(重量)だけを合計する。

③ COUNTIF(個数・品種数の集計)

購入品の件数・製作品の件数を自動集計できる。BOMの種別サマリーを自動更新したいときに便利。

=COUNTIF(D:D, “購入品”)

④ IFS(条件によってステータスを変える)

単価や重量などの値によって「要承認」「確認必要」「OK」を自動表示する。承認フローの見える化に使える。

=IFS(E2>100, “要承認”, E2>50, “確認必要”, TRUE, “OK”)

E2の値が100超なら「要承認」、50超なら「確認必要」、それ以外は「OK」。

⑤ TEXT(日付・図番のフォーマット統一)

日付表記がバラバラになるのを防ぐ。図番の自動採番にも応用できる。

=TEXT(TODAY(), “YYYY-MM-DD”)

今日の日付を「2026-05-10」形式で表示する。

⑥ INDIRECT(シート別集計)

A2セルにシート名を書くと、そのシートの指定セルを参照できる。月別・工程別シートを束ねた集計表を作るときに使う。

=INDIRECT(A2&”!B5″)

A2セルに「1月」と書けば「1月」シートのB5セルを参照する。

⑦ IFERROR(エラーを非表示にする)

XLOOKUPで参照先にデータがないと#N/Aエラーが出る。IFERRORでくるんでおくと、エラーの代わりに空白や「-」を表示できる。

=IFERROR(XLOOKUP(A2, マスタ!A:A, マスタ!B:B), “”)

⑧ UNIQUE(重複なしリストの自動生成)

材質・担当者・工程名の一覧を手動でメンテしなくていい。元データに追加すると自動で一覧が更新される。

=UNIQUE(C2:C200)

C2:C200の材質欄から重複を除いたリストを生成する。

⑨ SORT / SORTBY(自動並べ替え)

元データを触らずに、別セルに「品名順の表」を生成できる。フィルターより速くて、元データを汚さない。

=SORT(A2:D100, 2, 1)

A2:D100の範囲を2列目(品名)で昇順ソートして別セルに表示する。

⑩ 条件付き書式(締め切り・重要度の視覚化)

関数ではないが、これを知っているかどうかで「見やすさ」が激変する。期限が3日以内になったら行が自動で赤くなる——そういう設定が数分でできる。

  1. 期限列(例:G列)を選択
  2. ホーム → 条件付き書式 → 新しいルール
  3. 「数式を使用して書式設定するセルを決定」を選択
  4. 数式に =G2<=TODAY()+3 を入力して赤の塗りつぶしを設定

💡 まずXLOOKUPとSUMIFの2つだけ覚えればいい

10個を一気に覚えようとすると挫折する。まずXLOOKUP(マスタ参照)とSUMIF(条件集計)の2つだけ実務に組み込んでみてほしい。この2つで設計業務の「調べる・集計する」という作業の大半がカバーできる。

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3. BOM(部品表)テンプレートの基本構成

BOMは設計業務の「要」となるドキュメントだ。SolidWorksのBOM出力と列名を合わせておくと、ExcelへのコピペがそのままBOMとして使える——この設定を最初にやっておくだけで、図面完成後の作業が大幅に楽になる。

番号 品番 品名 材質 数量 種別 重量(kg) 備考
1 A001-001 ベースプレート SS400 1 製作品 3.2
2 A001-002 ブラケット SUS304 2 製作品 0.8
3 B002-010 M6×20 六角ボルト 8 購入品 0.01 JIS B1180

BOMテンプレートに仕込んでおくと便利な設定

  • 種別ドロップダウン——「製作品 / 購入品 / 外注品 / 標準品」をデータの入力規則で選択式にする
  • 材質ドロップダウン——よく使う材質をUNIQUEで自動リスト化して選択式にする
  • 重量合計の自動集計——SUMIFで材質別・種別別の重量サマリーを別シートに自動表示
  • 品番の自動採番——TEXT関数とROW関数を組み合わせて「A001-001」形式を自動生成

🔗 SolidWorksとExcelのBOM連携

SolidWorksのBOM出力(カスタムプロパティ連携)と組み合わせると、図面完成時点でExcelのBOMが8割方自動で埋まる状態が作れる。その方法は「SolidWorksとExcelを連携してBOMを自動出力する方法」にまとめてある。

4. 工程表テンプレートの作り方

工程表はガントチャート形式が最も使いやすい。Excelで作るメリットは「BOMや仕様書と同じファイルで管理できる」点だ。専用ツールより融通が利く。

基本構成(列の設定)

内容 使用関数・機能
A列 工程名・タスク名 手入力
B列 担当者 ドロップダウン(データの入力規則)
C列 開始日 日付形式(TEXTで統一)
D列 終了日(期限) 日付形式
E列 ステータス ドロップダウン(未着手/進行中/完了)
F列以降 日付バー(ガントバー) 条件付き書式でセルを塗りつぶす

ガントバーの設定(条件付き書式)

  1. F列以降に日付をヘッダーとして入力(1列=1日 または 1列=1週間)
  2. ガントバーにしたいセル範囲(例:F2:AZ100)を選択
  3. 条件付き書式 → 数式:=AND(F$1>=$C2, F$1<=$D2)
  4. 塗りつぶし色を設定(青・緑など)

これで開始日から終了日の範囲が自動的に色付けされ、日付を変えるとバーが動く簡易ガントチャートが完成する。

5. 関数を組み合わせるとさらに強くなる

ここまで紹介した関数は単体でも便利だが、組み合わせることで本来の威力が出る。実務でよく使う組み合わせを3つ紹介する。

組み合わせ① IFERROR × XLOOKUP——エラーなし部品マスタ参照

=IFERROR(XLOOKUP(A2, 部品マスタ!A:A, 部品マスタ!C:C), “マスタ未登録”)

品番が部品マスタになければ「マスタ未登録」と表示。エラーセルが目立って検品作業がしやすくなる。

組み合わせ② SUMIF × IFERROR——材質別集計をエラーなしで

=IFERROR(SUMIF(C:C, G2, E:E), 0)

G2の材質名でSUMIFをかけ、対象データが0件でも0を返す。集計サマリーシートが崩れなくなる。

組み合わせ③ TEXT × INDIRECT——月別シートの自動集計

=IFERROR(INDIRECT(TEXT(A2,”YYYY-MM”)&”!B5″), 0)

A2の日付から「2026-05」形式のシート名を自動生成して、そのシートのB5を参照する。月別データを1シートに束ねた集計表で使える。

6. まとめ

  • まずXLOOKUP + SUMIFの2つだけ実務に組み込む
  • IFERRORを組み合わせてエラーを見えなくする
  • BOMテンプレートはSolidWorksの出力列名に合わせて作る
  • 工程表は条件付き書式でガントバーを自動描画する
  • 関数に慣れたら次はマクロ(VBA)で繰り返し作業を完全自動化する

Excelの関数は「知っているかどうか」だけの世界だ。最初は覚えるのに時間がかかるが、一度身についたら何年もリターンが続く。あの日先輩に「SUMIFで一発だよ」と言われた私が証人だ。


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