ChatGPTは知っている。Geminiは名前だけ聞いたことがある。Claudeは聞いたことすらない——
そういう設計者が多いのは当然だ。AIツールはここ2〜3年で爆発的に増えた。
結論を先に言う。「どれが最強か」ではなく「何に向いているか」で選ぶのが正解だ。
この記事では、GoogleのAI「Gemini」とChatGPTを設計業務の目線で比較し、
どう使い分ければいいかを具体的にまとめた。
1. GeminiとChatGPT——何が違うのか
GeminiはGoogleが開発したAIアシスタントだ。ChatGPTはOpenAIが開発している。この「開発元の違い」が、使い勝手の差に直結している。
ChatGPTの強みは「言語処理の精度とコード生成」にある。複雑な文章を書いたり、VBAやPythonのコードを生成したりするのが得意だ。SolidWorksのマクロ生成で威力を発揮するのもここだ。
Geminiの強みは「Googleのエコシステムとの連携」にある。Gmail・Googleドキュメント・スプレッドシート・Googleカレンダーと深く統合されていて、Google検索のリアルタイム情報も参照できる。
どちらが上、ではない。「何をしたいか」によって使う道具が変わる——それだけの話だ。設計者なら、目的に合わせて両方を使い分けるのが最も効率がいい。
2. 基本性能の比較表
| 比較項目 | Gemini | ChatGPT |
|---|---|---|
| 開発元 | OpenAI | |
| 無料版 | あり(Gemini Flash) | あり(GPT-4o mini) |
| リアルタイム情報 | ◎ Google検索と連携 | ○ Web検索機能あり |
| Googleサービス連携 | ◎ Gmail・Docs・Sheets直接操作 | △ API連携が別途必要 |
| コード生成精度 | ○ | ◎ VBA・Pythonに強い |
| 文章の自然さ | ○ | ◎ |
| 画像・動画の処理 | ◎ マルチモーダルに強い | ○ 画像対応あり |
| PDF・ドキュメント要約 | ◎ | ○ |
| 有料版の月額 | 約2,900円(Gemini Advanced) | 約3,000円(Plus) |
💡 「どちらか一方」ではなく「両方」が答えに近い
どちらも無料版があるので、両方アカウントを作っておくのがおすすめだ。Google検索で何かを調べるついでにGeminiを使い、VBAコードを作るときはChatGPTを使う——この使い分けを習慣にするだけで、業務効率が体感レベルで変わる。
3. 設計業務でGeminiが特に強い場面
① 最新の技術情報・規格の検索
GeminiはGoogle検索と連携してリアルタイムの情報を取得できる。「ISO 9001の最新改訂内容は?」「SolidWorks 2025で追加された機能は?」「JIS B 0405の公差クラスを教えて」——こうした質問をすると、最新の情報を引用しながら回答してくれる。
ChatGPTも検索機能を持っているが、Google自体の検索エンジンと直結しているGeminiの情報鮮度は一枚上手だ。技術情報の調査に使うなら、まずGeminiを試してみてほしい。
② Googleスプレッドシートの自動化・分析
部品表や工程管理シートをGoogleスプレッドシートで管理している設計者は多い。Gemini Advanced(有料版)では、シートの中身をGeminiが直接読み取り、関数の提案・データ整形・集計分析を会話形式でサポートしてくれる。「この列にVLOOKUPを使って品番から品名を引きたい」と言えばそのまま数式を書いてくれる。
③ GmailやGoogleドキュメントとの統合
「このメールスレッドを要約して」「客先への返信メールを下書きして」——Gmailと統合されているGeminiは、メールの文脈を読んだ上でそのまま下書きを作れる。別ウィンドウでChatGPTを開いてコピペする手間がなく、Gmail画面の中で完結する。
④ PDF・仕様書の要約
客先から届いた100ページの仕様書を要約したいとき、GeminiにPDFを添付すると内容を読み取って要点を整理してくれる。「第3章の寸法仕様だけ抜き出して」「変更点をリストアップして」という使い方も可能だ。
4. 設計業務でChatGPTが特に強い場面
① SolidWorksのVBAマクロ生成
SolidWorks APIとVBAの両方を高精度で扱えるのはChatGPTの強みだ。「図面をPDF保存するマクロ」「カスタムプロパティをExcelに書き出すマクロ」——こうした実務直結のコードを、プロンプトひとつで生成してくれる。Geminiでも試せるが、精度と安定性はChatGPTが一歩リードしている印象だ。
② 仕様書・技術文書の文章作成
日本語の文章の自然さ・論理構成のしっかりさはChatGPTが上だ。「設計変更の経緯を説明する文書」「客先向けの技術提案書の下書き」のような長文作成はChatGPTに頼む方が出来がいい。
③ Excel VBAやPythonコードの生成
Excelマクロ・BOM自動化・SolidWorksとExcelの連携コード——コード生成全般はChatGPTが得意だ。エラーが出ても修正依頼に的確に応えてくれる。
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5. 【実話】GeminiとChatGPTを両方使って気づいたこと
正直に言うと、最初は「ChatGPTだけでよくない?」と思っていた。
Geminiを使い始めたのは、ある客先仕様書の対応がきっかけだ。英語で書かれた60ページのPDFが届いて、「3日以内に技術的な問題点を整理して報告してほしい」という依頼が来た。60ページを全部読んで、英語で理解して、日本語でまとめる——普通にやれば半日かかる作業だ。
試しにGeminiにPDFを添付して「設計上の注意点と寸法公差に関する記述を日本語で要約して」と頼んでみた。5分で要点が出てきた。英語の技術文書を読みながら翻訳していた30分が、5分に圧縮された。
「……これ、知ってたら去年ももっと楽だったな」と思った。思いながら少し悔しかった。
一方で、そのあと仕様書への回答文書を書くときはChatGPTを使った。理由はシンプルで、Geminiで書いた文章より自然だったから。どちらが上でもなく、得意分野が違う——その感覚が、実際に両方使ってはじめて腑に落ちた。
6. 場面別:どちらを使うべきか
| やりたいこと | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| SolidWorksマクロ(VBA)を作る | ChatGPT | API精度・エラー修正の的確さが上 |
| 最新の規格・技術情報を調べる | Gemini | Google検索と連携でリアルタイム情報 |
| PDFや英語仕様書を要約する | Gemini | マルチモーダル処理が強い |
| 技術提案書・仕様書の文章作成 | ChatGPT | 日本語の自然さ・論理構成が上 |
| Googleスプレッドシートの関数・整形 | Gemini Advanced | シートを直接読み取って操作できる |
| Gmailの返信メール下書き | Gemini | メールスレッドの文脈を読んで下書き |
| ExcelのVBAやPythonコード生成 | ChatGPT | コード生成の安定性が高い |
| アイデア出し・ブレスト | どちらでも可 | 両方に頼んで比較するのも面白い |
7. Gemini Advancedは必要か
月約2,900円のGemini Advancedが必要かどうかは、職場の環境と業務内容によって変わる。
- Google Workspaceを使っている職場——Gemini Advancedとの連携が強力。Gmailの下書き・Docsの要約・Sheetsの関数提案がシームレスに動く。費用対効果は高い
- 個人でGmailとGoogleドキュメントを使っている設計者——月2,900円でPDF要約・スプレッドシート連携・最新情報検索が強化される。試す価値はある
- Microsoft 365(Teams・Excel・Outlook)がメインの職場——Gemini AdvancedよりCopilot for M365の方が向いている可能性が高い
💡 まず無料版のGeminiで「感覚」をつかむのがおすすめ
Geminiは無料版でも十分に使える。まずは「最新の技術情報を調べる」「英語PDFを要約してもらう」「メールの下書きを頼む」の3つを試してみてほしい。「思ったより使える」と感じてからAdvancedを検討するのが合理的だ。
8. 設計者のAI活用を加速するコツ
- 両方のアカウントを作っておく——無料なので入れておかない理由がない
- 「まずGeminiで調べ、ChatGPTで書く」を基本ワークフローにする
- うまくいったプロンプトをメモする——Notionやテキストファイルにためると資産になる
- AIに「役割」を与える——「あなたは機械設計の専門家です」と冒頭に書くと回答の質が上がる
- 一度で完璧な回答を求めない——「もっと具体的に」「設計者向けに書き直して」と追加指示する方が精度が上がる
- 機密情報・顧客情報は入力しない——AIサービスへの入力データには注意。社内規定を必ず確認する
9. まとめ
GeminiとChatGPTは「競合」ではなく「役割分担できる相棒」だ。
- 最新情報・Google連携・PDF要約 → Gemini
- VBAマクロ・長文作成・コード生成 → ChatGPT
- まず両方の無料版を使ってみる
- うまくいったプロンプトはメモしてテンプレート化する
- Gemini Advancedは「Googleエコシステムをメインで使っているなら」検討する価値あり
AIを「使っているつもり」と「使いこなしている」の差は、道具の特性を知っているかどうかだ。Geminiを知ったこの機会に、一度試してみてほしい。
STEP UP
Geminiの「知っている」を
「使いこなしている」に変える番です
Geminiを「なんとなく使っている」段階から抜け出すには、
マルチモーダル(画像・音声・テキストの同時処理)と
Googleサービスとの本格連携を体系的に学ぶのが最短ルートだ。
このUdemy講座では、プロンプトの基礎から「Gems(自分専用AI)」「Gemini Live(音声会話)」まで、
実演デモを見ながらステップバイステップで学べる。
「AIが仕事を奪う」のではなく、「AIを使いこなす人が仕事を制する」——
その側に回るための一歩を踏み出せる内容だと思っている。
PICKUP COURSE
Gemini 完全活用講座
Google AIで仕事と日常を劇的に効率化する
- プロンプトの基礎から上級テクニックまでを網羅
- Gmail・Docs・Sheetsとの連携を実演デモで学ぶ
- 画像生成・PDF要約・動画要約のマルチモーダル活用
- Gems(自分専用AI)・Gemini Live(音声会話)まで対応
※ 頻繁にセール(最大90%OFF)が実施されます。気になる方はウィッシュリストへの追加がおすすめです。
CADHACK — 設計者のAI・CAD効率化メディア
機械設計エンジニアが実務目線で発信するSolidWorks・AI・業務効率化の情報サイトです。


