📄 この記事の要約PDF(Motion Study チートシート)は無料ダウンロードできます
図面を広げて「このカムがここに当たって、このリンクが押されて……」と説明しても、相手の頭の中には伝わっていないことのほうが多い。
SolidWorksのMotion Studyを使えば、その動きをそのまま動画にして見せることができる。
プレゼン・客先説明・取扱説明書・社内レビュー——一度作ると何度でも使い回せる。
この記事では、Motion Studyの基本から書き出しの品質向上・実務活用まで現場目線でまとめた。
1. Motion Studyの3つのモード——まずここを理解する
Motion Studyには3つのモードがある。用途によって使い分けるが、最初は「アニメーション」だけ覚えれば十分だ。
| モード | 物理計算 | 主な用途 | 必要ライセンス |
|---|---|---|---|
| アニメーション | なし | プレゼン・説明動画・組立手順 | Standard以上 |
| 基本モーション | 簡易あり | バネ・モーター・重力の動作確認 | Standard以上 |
| モーション解析 | 精密 | 機構の力学的検証・負荷計算 | Premiumのみ |
💡 迷ったら「アニメーション」から始める
物理計算がない分、直感的に動かせる。「この部品をここからここまで動かしたい」というイメージをそのまま形にできる。まず動くものを作ることが大事。
2. アニメーション作成の基本手順
Step 1:Motion Studyタブを開く
- アセンブリを開いた状態で画面下部のタブバーを確認する
- 「モーションスタディ1」タブをクリック(なければ「+」ボタンで追加)
- タイムラインパネルが画面下部に表示される
Step 2:キーフレームを設定する
- タイムラインの0秒の位置で、部品を初期位置に配置する
- 再生ヘッドを動かしたい時刻(例:2秒後)に移動する
- 移動させたい部品をドラッグして終端位置に動かす
- 自動的にキーフレームが追加される
- 再生ボタン(▶)で動きを確認する
⚠️ 合致が邪魔して動かせないときの対処
合致が設定されているとドラッグで動かせないことがある。その場合は該当の合致を一時的に抑制(右クリック → 抑制)してからキーフレームを設定し、終わったら合致を戻す。
Step 3:動画ファイルに書き出す
- Motion Studyのツールバーにある「ビデオを保存」ボタン(フィルムアイコン)をクリック
- ファイル名・保存先・解像度(1280×720以上推奨)を設定
- 「保存」をクリックして書き出し開始(AVI形式で出力される)
3. 書き出し品質を上げるコツ
| 設定項目 | 推奨設定 | 効果 |
|---|---|---|
| 解像度 | 1280×720(HD)以上 | プレゼン・資料に十分な品質 |
| RealView | ONにする | 質感・影がリアルになり説得力が上がる |
| 背景色 | 白または薄いグレー | PowerPoint・Wordへの貼り込みで映える |
| フレームレート | 25〜30fps | なめらかな動きに仕上がる |
| 書き出し形式 | AVI → MP4変換推奨 | ファイルサイズを1/5以下に圧縮できる |
📌 手順・品質設定・活用シーン・失敗対処をPDF1枚にまとめました
4. 【実話】あの客先プレゼンで世界が変わった日
今でも鮮明に覚えている場面がある。
入社4年目、自動化装置の客先プレゼンの日だった。先輩が準備した資料はA3の組立図面が10枚。担当者に「このカムの動きがここに伝わって……」と説明し始めたその瞬間、相手の目が完全に泳いでいた。伝わっていない目というのは、見ればわかる。
翌週の追加プレゼンで、自分はMotion Studyで作った30秒の動画を1本持っていった。カムが回転して、リンクが押されて、シリンダーが動く——それだけの動画だ。
再生した瞬間、担当者が「あ、こういう動きをするんですね」と言った。それまで3回の打ち合わせで伝えられなかったことが、30秒で伝わった。
正直、その動画を作るのに1時間もかかっていない。でも、その1時間が何時間分もの説明コストを消した。
それ以来、機構の説明が必要な場面では必ずMotion Studyで動画を用意するようになった。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったものだと、設計の現場で実感している。
5. 実務で使える活用シーン5選
① 客先プレゼン・提案
「どう動くか」を3D動画で見せると、図面だけの説明より格段に伝わる。特に機構が複雑なほど効果が大きい。初回提案から動画を出すと、競合他社との差別化にもなる。
② 組立手順書・取扱説明書
「どの部品をどの順番で組み付けるか」を動画で見せると、作業ミスが激減する。製造現場や協力工場への説明コストも大幅に減らせる。
③ 社内設計レビュー
離れた部署や在宅メンバーへのレビュー共有に使える。動画をメールやチャットで送れば、全員が同じ動きを確認できる。「言った言わない」の防止にもなる。
④ 干渉チェック・可動域の確認
アニメーションを動かしながら干渉チェックを同時実行すると、静止状態では見えなかった干渉を発見できる。設計ミスを早期に発見するためのツールとしても使える。
⑤ 営業・マーケティングツール
新製品の動作をYouTubeに限定公開でアップロードすると、URLを共有するだけで動画を届けられる。Webサイトへの埋め込みや展示会での活用にも応用できる。
6. よくある失敗と対処法
| 失敗・症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 部品が変な方向に動く | 合致が動きを制限している | 合致を一時抑制してからキーフレームを設定 |
| 動画が重くて開けない | AVIのまま共有している | HandBrakeでMP4に変換する(無料) |
| 画質が荒い | 書き出し解像度が低い | 書き出し前に1280×720以上に設定する |
| カクカクした動きになる | キーフレームが少ない | 動きの中間点にキーフレームを追加する |
| 書き出しボタンが押せない | タイムラインが0秒のまま | タイムラインを1秒以上に設定する |
| モデルが暗くて見えにくい | 照明設定が初期値のまま | 表示 → 照明でアンビエント光を上げる |
7. AVI→MP4変換で共有を一気に楽にする
SolidWorksのMotion Studyが書き出すAVI形式は、ファイルサイズが大きすぎて共有しにくいという問題がある。30秒の動画でも数百MBになることがある。MP4に変換すると1/5〜1/10のサイズになる。
HandBrake(無料)を使った変換手順
- HandBrakeをダウンロード・インストール(無料・広告なし)
- 出力したAVIファイルをHandBrakeのウィンドウにドラッグ
- プリセットから「Fast 1080p30」を選択
- 「エンコード開始」をクリック → MP4ファイルが生成される
💡 YouTube限定公開が最も楽な共有方法
MP4をYouTubeに「限定公開」でアップロードすると、URLを共有するだけで誰でも視聴できる。ファイルを添付するより確実で、スマホでも再生できる。客先へのメール添付に悩んでいるならこれが最速。
8. まとめ
Motion Studyは「設計者が説明コストを劇的に削れるツール」だ。動画1本で、何十分もの口頭説明を置き換えられる。
- まず「アニメーション」モードから始める——物理計算なしで直感的に使える
- キーフレームは「初期位置」と「終端位置」の2点だけで動画が作れる
- RealViewをON・背景を白にするだけで見栄えが大幅アップ
- AVIはHandBrakeでMP4に変換してから共有する
- YouTubeの限定公開が最もスマートな共有方法
9. チートシートPDFダウンロード
この記事の内容をA4印刷用PDFにまとめました。モード比較・作成手順・品質設定・失敗対処表・MP4変換手順がすべて1枚に凝縮されています。
📄 SolidWorks Motion Study 完全ガイド(印刷用PDF)
モード比較 / 作成手順 / 品質設定 / 失敗対処表 / MP4変換手順 / 無料ダウンロード
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STEP UP
動画で「伝える力」を手に入れたら、
次は「設計で作る力」を体系化する番です
Motion Studyで動画を作れるのは、動かせるアセンブリが存在するからだ。
見栄えのいい動画の裏には、合致設計・拘束の考え方・機構の構成思想がある。
「なんとなく動いているアセンブリ」ではなく、
意図通りに動く、設計として正しいアセンブリを作れるようになりたいなら——
Udemyのエンジニア監修コースで土台から学ぶのが最短ルートだと思っている。
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