「回って、ピタッと止まって、また回る」——この間欠回転を、モータの連続回転だけで、制御なしに実現するのがゼネバ機構です。映写機のフィルム送り、自動機のワーク割出し。”確実に止まる”ことが求められる場所で、100年以上使われ続けている古典機構です。
結論:ゼネバ機構(ジュネーブ機構)は、駆動側のピンが従動車の溝に出入りすることで、連続回転を「回転→停止」の間欠回転に変換します。割出し角は溝数で決まり(4溝なら90°ずつ)、停止中は円弧部でロックされて自己保持する点が最大の強み。制御レスで確実な割出しができる反面、起動・停止の加速度が大きく高速化には限界があります。
ゼネバ機構とは——別名いろいろ、原理は1つ
ゼネバ機構は、ジュネーブ機構(Geneva mechanism)、マルタ十字機構とも呼ばれます。呼び名は違っても原理は同じ。十字型(または星型)の従動車に溝があり、駆動側の円板についたピンがその溝に出入りします。
名前の由来は、スイスの時計産業で、ゼンマイの巻き過ぎを防ぐストッパー機構として使われたことから。現在は間欠送りの代表機構として広く使われています。
動作の流れ
- ピンが溝に進入:従動車が回り始める
- ピンが溝の奥を通過:従動車が割出し角だけ回転
- ピンが溝から抜ける:従動車は停止
- 停止区間:駆動円板の円弧部が従動車の凹みにはまり、回転をロック(自己保持)
この「停止中も位置を保持する」点が、ゼネバ機構が信頼される理由です。止まっている間、外力で勝手に動くことがありません。
溝数と割出し角
従動車の溝数で、1回の割出し角と、停止している時間の割合が決まります。
| 溝数 | 1回の割出し角 | 運動:停止の比率 | 用途イメージ |
|---|---|---|---|
| 4溝 | 90° | 運動25% : 停止75% | 4工程の割出し |
| 6溝 | 60° | 運動33% : 停止67% | 6工程の組立機 |
| 8溝 | 45° | 運動38% : 停止62% | 多工程の割出し |
📐 ポイント:溝数が少ないほど停止時間の割合が長く、1回の割出しは大きくなります。逆に溝数が多いと割出しは細かくなりますが、運動時間の割合が増えるため、止まっている余裕が減ります。必要な工程数と、停止中に行う作業時間から溝数を決めます。
設計の幾何条件——進入角を接線方向に
⚠️ ピン進入時の衝撃を抑える:ゼネバ機構の設計で最も重要なのが、ピンが溝に入る瞬間の幾何条件です。ピンが溝に進入する方向を、溝の接線方向と一致させるのが基本。これがずれると、進入の瞬間に衝撃が発生し、騒音・摩耗・割出し精度の悪化を招きます。駆動ピンの回転半径と中心間距離の関係でこの条件が決まります。
ゼネバ機構の長所・短所
長所
- 確実な割出し:機械的に角度が決まり、制御不要
- 停止中の自己保持:外力でずれない
- シンプル・安価:部品が少なく頑丈
短所
- 高速化に限界:起動・停止の加速度が大きく、振動が出やすい
- 割出し数が固定:溝数を変えるには従動車の作り直しが必要
- 滑らかさで劣る:加減速をカム曲線ほど自由に設計できない
より高速・滑らかな間欠割出しが必要なら、カム曲線で加減速を制御するカムインデックス(ローラギヤカム)が選択肢になります。詳しくは関連記事を参照してください。
設計の勘所
ゼネバ機構の魅力は「制御がいらない」ことに尽きます。サーボとセンサで割出しを作ろうとすると、モータ・ドライバ・原点センサ・制御プログラムが必要になる。一方ゼネバなら、モータを定速で回すだけで「カチ、カチ」と正確に割り出して、しかも止まった位置でロックされる。シンプルさは正義です。ただし将来「工程数を増やしたい」となると溝数固定が足かせになるので、採用時に工程数の拡張性だけは確認しておくのが失敗しないコツです。
ゼネバ機構の魅力は「制御がいらない」ことに尽きます。サーボとセンサで割出しを作ろうとすると、モータ・ドライバ・原点センサ・制御プログラムが必要になる。一方ゼネバなら、モータを定速で回すだけで「カチ、カチ」と正確に割り出して、しかも止まった位置でロックされる。シンプルさは正義です。ただし将来「工程数を増やしたい」となると溝数固定が足かせになるので、採用時に工程数の拡張性だけは確認しておくのが失敗しないコツです。
SolidWorksでのゼネバ機構の検討
📐 まずレイアウトスケッチで幾何条件:駆動ピンの回転円と従動車の溝配置を、レイアウトスケッチで作図し、進入角の幾何条件を確認します。動作の再現にはMotion解析の接触(コンタクト)を使うと、ピンと溝の接触で間欠動作を再現でき、加速度のピークも評価できます。割出し角は溝数で決まるので、設計の出発点は「必要な割出し角→溝数」の決定です。
🔗 関連:他の間欠機構との比較は「間欠送り機構の選び方|ゼネバ・ラチェット・カムインデックスを動く図で比較」が詳しいです。
🔗 関連:ラチェット機構との違いと使い分けは「ラチェット機構とは|爪と歯車で一方向回転を実現する仕組み」で確認できます。
🔗 関連:割出し方式の全体比較は「インデックス機構とは|割出し方式の種類と選び方」へ。
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よくある質問(FAQ)
Q. ゼネバ機構とジュネーブ機構は違うもの?
A. 同じものです。Geneva mechanismの読み方の違いで、ゼネバ機構・ジュネーブ機構・マルタ十字機構はすべて同一の間欠回転機構を指します。
Q. ゼネバ機構とカムインデックス、どちらを選ぶ?
A. シンプル・安価・確実な自己保持が欲しいならゼネバ機構。高速・滑らかな加減速・高精度が必要なら、カム曲線で制御するカムインデックス(ローラギヤカム)が有利です。ただしカムインデックスは高価です。
Q. 割出し角は後から変更できますか?
A. ゼネバ機構の割出し角は溝数で決まるため、変更には従動車の作り直しが必要です。将来の工程数変更が想定される場合は、採用前に拡張性を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
ゼネバ機構の要点:
- 連続回転を間欠回転に変換、制御不要
- 割出し角は溝数で決まる(4溝=90°)
- 停止中は円弧部でロック=自己保持が強み
- ピン進入を溝の接線方向に合わせるのが幾何条件
- 高速化に限界・割出し数は固定
ゼネバ機構は、シンプルさと確実さを両立した古典の名機構です。制御に頼らず「確実に割り出して止める」必要がある場面では、今も第一候補。まずは動く図鑑で、ピンと溝のかみ合いから生まれる間欠動作を目で確かめてみてください。
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